シン・ゴジラ

二回目見て摂取って言えるぐらい落ち着いてきたのでメモに。

邦画もうダメかと思ってたけどやるじゃん。

ゴジラ見てるはずなのに、エヴァの1~3話見てる気持ちになる。

世界が滅ぶ話は最高だが、東京が滅ぶ話も最高。霞が関とか永田町とかあの一帯がものの数秒で焼き払われるのあー本当に日本やべえなってなる。リアリティある滅び方。欲を言えば復興の可能性も感じられないぐらいめたくそに滅ぼしてほしかった。

「だんちゃーく、今!」とか、「彼の戦力が分からない今、我の戦力を最大限投入するべきと考えます」みたいな自衛隊の言い回し最高だし、多摩川土手に戦車並べて斉射とか完全に最高だし、在来線爆弾突っ込め!みたいなのとかもう笑顔が止まらん。山手線に沿ってビルの谷間を縫うように隊列で飛ぶアパッチとか、超市街地でヘルファイア。多摩作戦中のBGM総じて良い。

ヤシマ作戦は日本中の電力で元気玉だったけど、現代になると世界中の計算リソースで元気玉になるんね。いかつい配線とか、排熱とかがモリモリのヤシマ作戦の方がエモい。残念。

動力源を積んでる生物で、しかも勝手にめっちゃ進化する意味不明な奴に経口摂取で血液凝固剤突っ込め!ってのはどうかと思う。水素の経口摂取もビフィズス菌の経口摂取も大して体に入らないっていうでしょ。しかも下から建機で飲ませようとしても、液体なんだし普通に口から垂れてきそう。作戦内容もっと何とかならんかったのか。凍らせて放射性物質食い止めようとした福島第一原発由来?うーん。

あと注入量をモニタする端末のインタフェースがダサい。タブレット端末じゃなくてもっと計器感をこう…こうです!

もっと爆発してほしかった。実写でやることによってリアリティは200割り増し、エモさは3割減。

第二形態さんが多摩川をやってくるシーンと、通った後の道で救助してるシーン、どっからどう見ても3.11の動画の再現で完全にずるい。何をどう考えても恐怖するしかない。

第二形態さんエラがもぞもぞしてたり、口の周りが咆哮でぷるぷるしてたりしててめっちゃ生物感。ゴジラって岩!炎!のはずなのにびちゃびちゃしててぬめぬめしてて気持ち悪いことこの上ねえ。第二形態考えた人天才か。

部屋の中からゴジラが見えるカットとか、屋上とかオフィスとかから遠くにゴジラが見えるカットとか、空をゴジラのしっぽが覆うカットとか、もう本当に非日常感出まくっててどひゃーってカンジ。

生物課課長補佐とかなんとか副長官とか、見た目がいちいち大学のそれぞれの専門に言った知り合いに似た人が出てきて個人的にうける。

ぐしゃぐしゃの電線出したり、工場のめこめこの配線出したり、白の明朝体で兵器の名前ぶち込んだり、無線で状況報告が飛び交ったりするのはもうエヴァのオマージュとかファンサービスとかじゃなくて、完全に監督の趣味でしょ。

めっちゃ人を選びそうな(オタク的な)映画なのに、どこでもかしこでも両手離しで絶賛されてるの見てなんじゃこりゃって思う。

完全に最高だけど。

スワロウテイル人工少女販売処

ハードなラノベ、ソフトなSF。

セックスすると死ぬ病気が流行りました。だから男女で分けて済むようにしました。各自治区には、異性の代わりとして人間に限りなく似せて作った人工妖精をばらまきました。みたいな世界。

いくら犯人殺しても同じ手口の殺人が起きるんだけど…っていうSFサスペンス。

出てくる装置とか考え方とかかなりSFなんだけど、出てくるキャラとかネーミングとかのセンスが完全にラノベ。あたらしい。

アニメ化すると最高に映えると思う。

だってロリババア博士と、五等級の水気質<<アクアマリン>>人工妖精<<フィギュア>>と、正体不明のなんでも知ってる全能抗体<<マクロファージ>>だぞ。最高か。

決定論が明らかになったからそれを打ち破るべく宇宙に最強の人工知能を送ったんだけど、ヤバい報告<<エンケラドゥスレポート>>持って帰ってきそうだったから撃墜とかわくわくが止まらない話がてんこ盛り。良い。

ただ、説明ぶっ飛ばして話進めて、後からあの時のテーマはこんなんでしたとか、全然伝わってこん意味深な発言させて後からあの時の意味はこんなんでした。みたいな書き方がめっちゃ多いので読みづらい。

メガフライホイールとかいうばかでかいフライホイール作ったからエネルギー問題解決しました!って書いてあるけど、フライホイールで発電できる仕組みが全くわからん。フライホイールて運動エネルギーで蓄えとく電池でしょ?

ギミックはエモいがもうちょっときちっと説明してくれてもいいと思う。

重心の釣り合い取るために反対側に全く同じ構造作りました。とか。重心は低ければ低いほど転覆しないやん?

言壺

人間の思考を支援する装置があったとして、それに人間が依存していて、全部ネットワークで繋がっていたとしたならば一つの統一した言語世界ができあがるんだけど、それがバグったら世界やばいよね。全く意思疎通取れないよね。

インターネットとか人工知能とか盛り上がったから現実味を帯びてきた話でバベルの塔やりました。みたいな。

言葉や意味に絶対的なものはなくって、その基盤がぶっ壊れたら全部おしまいだぜ!みたいなのってポスト構造主義って言うんだって。へぇ。(合ってるかはしらん)

言葉の強力さとかとりとめのなさとかをテーマに色々。

オムニバスっぽく世界がつながってる。

言葉がぶっ壊れて世界がぶっ壊れた遠い未来の話やってるっぽい栽培文とかなかなかイケてる。

最後の一文の主語は言葉そのものに一票。

バグった文章の例文が「私を生んだのは姉だった。」なんだけど、全然アリやん?

川崎ロック座

ストリップショー。

最初もっと耽美的?前衛芸術?的なやつかと思ってたんだけど、普通にストリップ。超ストリップ。

回転する台の上に乗って全裸のお姉さんが開脚したりブリッジしたり、とにかくえっちなポーズを取りまくる。すげえ!

前に熱海の掘っ立て小屋で、一週間煮込んだがんもどきみたいな婆さんが局部で煙草を吸うとか言うこの世の終わりみたいなストリップショーを見たことがあるんだけど、まったく別物だった。

20代中盤から30代前半と思しき?スレンダー目のお姉さんが一人ずつばしばし出てきてがんがん脱いで、ぐるぐる真ん中で周って袖裏に帰って行く。

そしてお姉さんがめっちゃ近い。いっちばん近い席とかだと、本当にのけぞったお姉さんの髪がかかりそうな距離とかだからもう全部見える。すげえ凝視できる。なんかもう今週で一番集中力使ったと思う。念が見えそう。

お客さん達は九割九分ストリップ通い歴20年みたいな熟練のおじさん達。もう皆さん恥も衒いも興奮すらもなくて(野球観戦のおっさん達の方が100倍ぐらい興奮していると思う)もうなんかあーもう今涅槃入りました…みたいな感じ。

ショーの合間合間にポラロイド撮影会とかあるんだけど、全裸のお姉さんが普通の照明で、ふつーにお札数えたり、ポラロイドカメラのフィルム入れ替えたり、M字開脚で写真取られたりしてる。むしろえろい。

めっちゃタンバリンがうまいおっさんとか、訳の分からんリボンをそれっぽいタイミングでフワッて投げてブワって回収するおっさんとか、このおっさん達何なんなんや。。。みたいなおっさんがすげえいい顔して活動している。

一回入ればいつまでもいられるので、もういっそこの人住んでんじゃねえかレベルで不動のおっさんとかいる。怖え。

もうなんか全部すごいのでとりあえず行くべき。

ちなみに公演中に致すのは厳禁とのこと。

乳と卵

気が付かないうちにKindleに入ってた。

軽いネタバレ(泣けるだとか大どんでん返しだとか)食らった本はしばらく寝かせるのだけど、このメソッドは有効。適当に買った本と区別がつかなくなる。

で、これは適当に買った本の方だった。

熱い意志で豊胸手術をしたい40歳のおばさんと、一人身のわたしと、生理始まるのも胸が大きくなるのも意味がわからんやめてくれって言う女の子が片っ端から女性なるうえはみたいな話をごりごりやる話。

性別的にも年齢的にもターゲットがっつり外してるせいなのか、まあそういうこともあるかもしれんねって気持ちがひたすら湧いてくる。

関西弁のようなそうでないような文章で書いてあるんだけど、時折これはという言い回しがあってよい。文がやたら長いくせに読める。例えば

「気がつけばわたしと緑子は二人で頭蓋の鉢と鉢がごりとあたるほどに身を寄せて電子辞書、しかもこれには液晶画面を照らす機能がないからくいくい角度を変えつつ蛍光灯の光をあれして息をひそめてやっていると、いきなりどばたん、というドアのでっかく開く音がしてわたしと緑子は今夜最大にびくつき、振り返れば巻子が立っており、台所は電気が消してあるので巻子の背後には廊下の蛍光灯の安っぽい光がちろちろして全体的に灰色であった。」

長え。

卵割って喋った!みたいなありがちなくだりはやる必要があったのだろうか。

緑子の全部意味わからん死ねみたいな態度かわいい。

芥川賞らしい。

 

私のなかの彼女

最近わたしだとかあなただとか言うタイトルの本ばっかり読んでる。

実家の蔵から祖母の書き物が出てきた結果作家になったりしていろいろ拗らせる主人公の話。

後ろ半分畳み掛けるような転げ方がたまらん。が、その割に四年後立ち直ってそれでも生きていくんだってばよ!みたいにさっぱり終わっちゃうから全く納得行かねえ。

「自分の時間を自分のために使うことしかできなくて」

「ただしいのは自分で、間違っているのはぜんぶ他者。論理が一つしかない」

「あんたおかしいんじゃないの」

あーなんかすみません。って気持ちになってくる。忙しくても部屋片付けだけは真面目にすることにしよう。

ただ、こういう話を読む度に、自分にとって正しいのは自分だけだから、ただしいのは自分で間違っているのはぜんぶ他者ってただしいのでわ?って気持ちになるし、社会にとってただしいのは自分なのに社会自体が間違ってて困ってる人かわいそう…って気持ちになる。

量子計算機とか容姿のドラッグとかの本ばっかりじゃなくて、たまにこういうの読むといいかもしれない。いろんなジャンルの本漁りたいけど、本って最後まで読まないと分からんところが多いくせに一冊読むのにわりと時間かかるから、音楽や動画と違ってとっつきづらくて困りますね。

あなたのための物語

脳の電気信号がITPとかいう言語で完全に記述できたとしたら。

ロボットやAIには身体性がどうだのこうだの言う話があるが、走れる!だとか話せる!だとか食べられる!というプラスではなく、死ぬ!病気になる!腹減る!みたいなマイナスのできごとでバシバシ分からせてくるのが偉い。

だってすごいぞ。主人公が路上で漏らすんだぞ。これぞ!超!身体性!

ラストのサマンサのシーン強い。最後の一行もよい。

重たそうな計算は量子計算機に任せとけみたいな安直なノリはダメだと思う。

人間と同等の人格を持つ計算機には人権を!派なのでITP持つ量子計算機が無碍に扱われるのは納得がいかねえ。

道具に成り下がっても永遠に生きれるのって最強だと思うんだけどどうなんだろう。エヴァ初号機も永遠に宇宙漂ってんねんぞ。

読み切るのに間が空いてたから最初の方ほとんど覚えてないけれど、SFとしてかなり優秀。おすすめ。言い回しが少しくどい。