乳と卵

気が付かないうちにKindleに入ってた。

軽いネタバレ(泣けるだとか大どんでん返しだとか)食らった本はしばらく寝かせるのだけど、このメソッドは有効。適当に買った本と区別がつかなくなる。

で、これは適当に買った本の方だった。

熱い意志で豊胸手術をしたい40歳のおばさんと、一人身のわたしと、生理始まるのも胸が大きくなるのも意味がわからんやめてくれって言う女の子が片っ端から女性なるうえはみたいな話をごりごりやる話。

性別的にも年齢的にもターゲットがっつり外してるせいなのか、まあそういうこともあるかもしれんねって気持ちがひたすら湧いてくる。

関西弁のようなそうでないような文章で書いてあるんだけど、時折これはという言い回しがあってよい。文がやたら長いくせに読める。例えば

「気がつけばわたしと緑子は二人で頭蓋の鉢と鉢がごりとあたるほどに身を寄せて電子辞書、しかもこれには液晶画面を照らす機能がないからくいくい角度を変えつつ蛍光灯の光をあれして息をひそめてやっていると、いきなりどばたん、というドアのでっかく開く音がしてわたしと緑子は今夜最大にびくつき、振り返れば巻子が立っており、台所は電気が消してあるので巻子の背後には廊下の蛍光灯の安っぽい光がちろちろして全体的に灰色であった。」

長え。

卵割って喋った!みたいなありがちなくだりはやる必要があったのだろうか。

緑子の全部意味わからん死ねみたいな態度かわいい。

芥川賞らしい。