未来のミライ

細田監督作品と聞いて。テーマ曲が山下達郎山下達郎はフューチャーファンク)でありフューチャーファンクファンとしてはマストなので。

幼稚園児が未来とか過去に行って家族のつながりを感じるお話。

映画一本まるまる使って「お前にも先祖はおるし子供もいる、過去も未来も繋がっとる今なんやぞ」って説教される。

宮崎駿風立ちぬで映画まるまる一本使って「好きなことをやって夢を追って生きたぞ。お前も"生きる"んやぞ」って説教されて、うっさいわ生存者バイアスじじい黙れってブチ切れたんだけどその再来ってカンジ。

登場人物も建築屋のしかも設計とバリキャリウーマン夫婦が高級住宅地のデザイナーズハウスに住んで子育てって大変だね♡とか言っても黙れ金払ってハウスキーパー雇え?ってなるよね。

宮崎駿はもう引退スレスレでやったから、よかったねおじいちゃん、いい人生だったね…で済むんだけど、今がまさに全力出せよって頃合いの人がこれやって大丈夫なん?

福山雅治とか役所広司とか有名な人がっつり声優にぶち込んでてお金かかってそう。のわりに主人公の幼稚園児の声と演技が成人女性。つれえ。

話に脈絡も一貫性もなくエンターテイメント性もない。小中高生が見ても楽しいよね、それでいて若干の教えがあっていいよねってのが夏休みに公開されるアニメ映画だと思うんだけど、説教のターゲット完全に結婚するかしないか以降の年齢の大人。

山下達郎はフューチャーファンクだったのでよかった。

シャイニング

ポプテピピックとREADY PLAYER ONEでパロられてて教養みを感じたので。

管理人として山奥のホテルで一冬過ごす家族のお話。

不穏なBGMがよい。ただヨーロッパの山間部を走ってるだけの動画に不穏なBGMを載せるだけでめっちゃ不穏になっててうける。

All work no play makes Jack a dull dogはひえってなる。お前そんな前から狂っとったんかい。

従来であれば安置であるところに怖いもんが入り込んでくるのって根源的に怖いよね。風呂とか布団の中とか。知り合いや家族の中身とか。

The Thingは今見てもくそ怖えと思ったけどThe Shiningはそうでもねえ。有名な古典ってリスペクトされすぎて今見てもありきたりに見える問題は悩ましい。

教養。

READY PLAYER ONE

オタクネタパロが多いアメリカ版SAO。あるいはアメリカ版サマーウォーズ

世界中でVRゲームがめっちゃ流行ってて、超難易度コンテンツをクリアしたらゲームの運営会社を相続できるらしいっつってみんな頑張る。

デロリアンとアキラのバイクがレースする画は強かったけど、アイアンジャイアントとかガンダムとかゴジラとか、その他もろもろの何らかのパロディっぽいネタは世代&リージョンが違ってよくわからん。

VR空間内のクラブでBlue mondayがかかってるのは謎でよかった。

大人数が集まって協力して悪を打ち負かすってええよね。が、悪側が悪っぽい描写がなされるだけで大して思想的には悪じゃないのがつまらん。悪者には悪者の哲学があってほしいよね。

あれだけVR空間での生活が充実、流行ってるのに、最後の締めが「ゲームは一週間に二日は休もう!現実も大切にね!」なのアホか。

邦題が「レディ・プレイヤー・1」なの本当にどうかしてる。カタカナだとゲームの開始画面感が伝わらないし、そこが伝わらないならこんな意味の伝わりづらいタイトル漬ける意味なくない?

宝石の煌き (Splendor)

いわゆる拡大再生産のジャンルのボードゲーム。ドイツの優秀ボードゲーム選定大会かなんかでノミネートされたらしい。有名。

プレイヤーは中世の宝石商かなんかになって宝石を集める。高価な宝石には威信ポイントがついてて(威信ポイントて何)、15点の威信ポイントを早く獲得した人が勝ち。

大体1ゲーム30分ぐらいかかった気がする。

この手のゲームって一度差がついたら二度と追い付けないイメージが強いんだけどゲームバランス調整がよくなされとるお陰か詰みゲーを感じることが少なくてよい。

ルールはわかりやすく、ドミニオンみたいな経験者無双にならなくてよい。基本的なルールはシンプルなのに戦略に自由度がある。宝石を集める / 得点を稼ぐのどっちも最適戦略で、切り替えの塩梅が難しい。場に出ている得点カードで有利不利が大きく揺らぐので、予約システムの使いどころも意外と大切。宝石トークンの数には限りがあるので、手持ちのトークン管理も悩ましい。

相手の宝石の数がオープンになっているので、お互いの戦略とムーブを予想しながら動く必要がある。いかにステルスに動けるか、ブラフチックに動けるかあたりの要素も出てきて、人対人が好きな人も楽しめるように作らててよい。

有名ゲームだけあってよく作られている。おすすめ。

ユリイカ バーチャルYoutuber特集

2018年7月時点でここまでのバーチャルYoutuber界隈と意義を一度振り返ってみようみたいな言論本。

中で触れられている通り、バーチャルYoutuberって実際の人間から魂だけ引っこ抜いてコンテンツにする仕組みだからいろいろな可能性があるし、実際いろいろなバーチャルYoutuberが出てきており言論にとっては面白いテーマ。

が、あまりにいろいろありすぎて、それぞれの寄稿者が指すバーチャルYoutuberが偏ってたり、局所的だったりで主張がぶれぶれになってるケースが多く見られる。

商売って金儲けこそが正義で、表現の新規性とか意義とかは現代美術にでもお任せしとけばいいんじゃないですか?って世界だと思うのだけど、美学とか美術史とかメディア論の人たちが寄ってたかって発展途上のコンテンツの首根っこつかまえて「意義を理解して表現せよ!」「バーチャルアイドルは過去通ってきた道だ!反省せよ!」って殴るのは行儀が悪い。

バーチャルYoutuberの中の人自身も何人か寄稿しておって、それぞれのスタンスに違いが感じられてよい。特にウカ様が主張が一貫して人間のガワを捨てよ(中身で戦えるようになれ)派で好感が持てる。

キズナアイはガチで2年前に生まれた人工知能ロールプレイしててうける。喋ってる主体がキズナアイそのものなのか、キズナアイの声の人なのか、プロジェクト運営しているのかよくわからんくなってきて不思議な感覚に陥る文章になってる。おまけ程度に強いAIだのシンギュラリティ云々だの語ってるけど強いAIなめんなよって思う。

他は大体Vtuberオタクのおじさんたちがなんか変なことを言っている感じです。

万引き家族

カンヌパルムドールってすごいんでしょ?ぐらいの感じで。

実際すごい。

下町に住むギリギリな生活をする貧乏な五人家族が虐待を受けているそこら辺の女の子を拾ってきてしまって云々する話。

構成がすごい。前半、貧乏なもののいわゆる家族の絆とか温かみを感じられるような家族の生活を描いときながら、事件をきっかけにぐるっとカメラをひっくり返して、さあ今までの営みは世間からみたらどうでしょう、法に照らすとどうでしょう、家族ってなんでしょうってド直球ぶつけてくるの力ありすぎてうごおお。

見てる人は前半で完全にこの家族に感情移入しちゃってるからそりゃうごおおってなるよね。果たしてあの生活は家族じゃなかったのか、でもDVから救ったわけだし、楽しそうにしてたし…とはいえ万引きを仕込まれるのは…学校に通わせられないのは…。

特に警察の事情聴取の形をとって行われるインタビューは絵的に強すぎで、ノブヨのド正面にカメラ構えて、「あなたは"子供達"になんて呼ばれてたんですか?」「産まないと親になれないでしょう?」って聞いちゃうのはズル。このシーンの安藤サクラの演技が圧巻。

テーマは家族なんだけど描写が超日本。カンヌって懐広いんやね。

アキちゃんはええとこのおうち、ええとこの家族なんになんで万引き家族んところで生活しとるん?あと見学クラブエロい。

普通に力があるので見るべき。