READY PLAYER ONE

オタクネタパロが多いアメリカ版SAO。あるいはアメリカ版サマーウォーズ

世界中でVRゲームがめっちゃ流行ってて、超難易度コンテンツをクリアしたらゲームの運営会社を相続できるらしいっつってみんな頑張る。

デロリアンとアキラのバイクがレースする画は強かったけど、アイアンジャイアントとかガンダムとかゴジラとか、その他もろもろの何らかのパロディっぽいネタは世代&リージョンが違ってよくわからん。

VR空間内のクラブでBlue mondayがかかってるのは謎でよかった。

大人数が集まって協力して悪を打ち負かすってええよね。が、悪側が悪っぽい描写がなされるだけで大して思想的には悪じゃないのがつまらん。悪者には悪者の哲学があってほしいよね。

あれだけVR空間での生活が充実、流行ってるのに、最後の締めが「ゲームは一週間に二日は休もう!現実も大切にね!」なのアホか。

邦題が「レディ・プレイヤー・1」なの本当にどうかしてる。カタカナだとゲームの開始画面感が伝わらないし、そこが伝わらないならこんな意味の伝わりづらいタイトル漬ける意味なくない?

宝石の煌き (Splendor)

いわゆる拡大再生産のジャンルのボードゲーム。ドイツの優秀ボードゲーム選定大会かなんかでノミネートされたらしい。有名。

プレイヤーは中世の宝石商かなんかになって宝石を集める。高価な宝石には威信ポイントがついてて(威信ポイントて何)、15点の威信ポイントを早く獲得した人が勝ち。

大体1ゲーム30分ぐらいかかった気がする。

この手のゲームって一度差がついたら二度と追い付けないイメージが強いんだけどゲームバランス調整がよくなされとるお陰か詰みゲーを感じることが少なくてよい。

ルールはわかりやすく、ドミニオンみたいな経験者無双にならなくてよい。基本的なルールはシンプルなのに戦略に自由度がある。宝石を集める / 得点を稼ぐのどっちも最適戦略で、切り替えの塩梅が難しい。場に出ている得点カードで有利不利が大きく揺らぐので、予約システムの使いどころも意外と大切。宝石トークンの数には限りがあるので、手持ちのトークン管理も悩ましい。

相手の宝石の数がオープンになっているので、お互いの戦略とムーブを予想しながら動く必要がある。いかにステルスに動けるか、ブラフチックに動けるかあたりの要素も出てきて、人対人が好きな人も楽しめるように作らててよい。

有名ゲームだけあってよく作られている。おすすめ。

ユリイカ バーチャルYoutuber特集

2018年7月時点でここまでのバーチャルYoutuber界隈と意義を一度振り返ってみようみたいな言論本。

中で触れられている通り、バーチャルYoutuberって実際の人間から魂だけ引っこ抜いてコンテンツにする仕組みだからいろいろな可能性があるし、実際いろいろなバーチャルYoutuberが出てきており言論にとっては面白いテーマ。

が、あまりにいろいろありすぎて、それぞれの寄稿者が指すバーチャルYoutuberが偏ってたり、局所的だったりで主張がぶれぶれになってるケースが多く見られる。

商売って金儲けこそが正義で、表現の新規性とか意義とかは現代美術にでもお任せしとけばいいんじゃないですか?って世界だと思うのだけど、美学とか美術史とかメディア論の人たちが寄ってたかって発展途上のコンテンツの首根っこつかまえて「意義を理解して表現せよ!」「バーチャルアイドルは過去通ってきた道だ!反省せよ!」って殴るのは行儀が悪い。

バーチャルYoutuberの中の人自身も何人か寄稿しておって、それぞれのスタンスに違いが感じられてよい。特にウカ様が主張が一貫して人間のガワを捨てよ(中身で戦えるようになれ)派で好感が持てる。

キズナアイはガチで2年前に生まれた人工知能ロールプレイしててうける。喋ってる主体がキズナアイそのものなのか、キズナアイの声の人なのか、プロジェクト運営しているのかよくわからんくなってきて不思議な感覚に陥る文章になってる。おまけ程度に強いAIだのシンギュラリティ云々だの語ってるけど強いAIなめんなよって思う。

他は大体Vtuberオタクのおじさんたちがなんか変なことを言っている感じです。

万引き家族

カンヌパルムドールってすごいんでしょ?ぐらいの感じで。

実際すごい。

下町に住むギリギリな生活をする貧乏な五人家族が虐待を受けているそこら辺の女の子を拾ってきてしまって云々する話。

構成がすごい。前半、貧乏なもののいわゆる家族の絆とか温かみを感じられるような家族の生活を描いときながら、事件をきっかけにぐるっとカメラをひっくり返して、さあ今までの営みは世間からみたらどうでしょう、法に照らすとどうでしょう、家族ってなんでしょうってド直球ぶつけてくるの力ありすぎてうごおお。

見てる人は前半で完全にこの家族に感情移入しちゃってるからそりゃうごおおってなるよね。果たしてあの生活は家族じゃなかったのか、でもDVから救ったわけだし、楽しそうにしてたし…とはいえ万引きを仕込まれるのは…学校に通わせられないのは…。

特に警察の事情聴取の形をとって行われるインタビューは絵的に強すぎで、ノブヨのド正面にカメラ構えて、「あなたは"子供達"になんて呼ばれてたんですか?」「産まないと親になれないでしょう?」って聞いちゃうのはズル。このシーンの安藤サクラの演技が圧巻。

テーマは家族なんだけど描写が超日本。カンヌって懐広いんやね。

アキちゃんはええとこのおうち、ええとこの家族なんになんで万引き家族んところで生活しとるん?あと見学クラブエロい。

普通に力があるので見るべき。

シュタインズ・ゲート ゼロ

アニメで放映されるというので。シュタゲってゲームならではだよねと思ってPS4版やった。

結論から言うとゲームならでは感が薄かったので多分アニメで大丈夫。

ゼロじゃない方のシュタゲで、最後に飛べなかった岡部の話。

前作のバッドエンドスタートなので基本的に世界が暗い。すーぐ戦争が始まるし人が死ぬし主人公はぼんやりしてるし電脳牧瀬といちゃこらして世界ヤバい性すごい。ディストピアファン垂涎。

新しいヒロイン、髪ぼさぼさだし茶目っ気薄くて大丈夫かよ…と思ってたけど大丈夫だった。

伏線ばらまきまくるんだけど、前作と違って回収がザル。終わっても話の流れに納得感あんまりねえ。

途中ガバガバENDがいくつか入ってるから残念。拳銃向けてんのにすーぐ奪い返されたり、数十人の特殊部隊相手に一人で無双しちゃったりする。さすがに無理やろ。

無限遠点のアルタイルは良かった。

とはいえ鳳凰院凶真復活なんてエモエモのエモに決まってるんだから、もうちょっと盛れたんじゃないの?

バッドエンドよい。もう勘弁してくれってぐらいバッド。暗い世界だからこれぐらいやってくれんとね。

一方でTrueエンド不完全燃焼。なるほどこうなるのねへぇ~。で終了した。

いくらでも熱くできる素材はあるのに、全体的に話をサクサク進めちゃって肩透かしを食らい続けるカンジ。

電脳牧瀬かわいい。対話エージェントってこうあるべきだよねって感じ。

A.I.C.O. Incarnation

ネットフリックスオリジナルアニメ。ネットフリックスに面白いアニメめっちゃ作って欲しいので見た。

人造ボディの女子高生が暴走した人工細胞を治める話。

SFやるんなら、新しい解釈とか技術とか入れて欲しいんだけど、ありがちな世界でありがちな技術が並ぶありがちなSFだったから悲しい。

どうして日本のSFは、SFのフリしてわりと現実世界のテック系ニュースの延長をやるんだ。ボストンダイナミクス感満載のメカが出てきておいおいおいメカデザインぐらいちゃんとやれよ的な。

UIデザインとかバイオな感じとかガルガンティアっぽいな?と思ったらキャラデザが鳴子ハナハルだった。なるほどね。

人工細胞がわしゃわしゃしてる世界で延々と話が進むので基本的に画が汚い。沙耶の唄のぐしゃぐしゃみたいなのが延々出てくる。

あの細胞君たちは何のセンサーで人間を的確に狙い撃つんだろうね。

キングダム

別々の人から3回勧められたので。

秦の始皇帝と一人の武将が中華統一しようとめっちゃ頑張る話。

49巻まで出てるけどまだまだ統一しなさそうにない。

エモい吉川三国志。熱めの絵とセリフがついてくるから10倍ぐらい熱エモい。

政のサイ?の演説ずるい。王様が出てきて、この戦いに負けてたらこの国が滅んでしまう、共に戦おう!って言うってもうそれだけで2億エモぐらいある。

ゲームオブスローンズ以上に色んな勢力の色んな人間が山ほど出てくるけど、誰がどういう人かきちんと覚えてられるぐらいきちんとそれぞれ個性描き分けられててえらい。

王族の末裔から始まる三国志と違って下賤の身分から立身出世が始まるから、一番下から一番上までそれぞれの視点で話が進んでいくから面白い。

一方、どんどん出世しないと天下取れないから、ご都合主義感満載にのし上がってって若干面白みに欠ける。秦の始皇帝が中華統一するって世界史の教科書にネタバレされてつらい。三国志ってあれだけ強そうな面子揃ってもなかなか上手くいかないのがいいよね。

中国の歴史物にしては残酷描写がほどほどなのでわ。漫画だからあんまり酷いのはCENSOREDなんだろうか。

最初はネタキャラかよはいはいとか思ってた王騎がクソかっこいい感じになってめっちゃビビった。他の漫画だと完全にネタ扱いされそうなキャラでもエモ散らかすのが強い。

将軍いいよね。でっかい仕事にビシバシ若手を挑戦させるどころか、若手の成長を考えて仕事振ってたりしてて完全に日本の多くの上司は見習ってほしい。

武勲いいよね。活躍したら活躍した分だけきちんと褒賞もらえてうらやましい。完全に日本の多くの人事部は見習ってほしい。

ビジョンいいよね。各国の宰相とか王が、どういう未来の在り方がいいかを考え、そこに向かって全力で進んでいく感じ。完全に日本の多くの経営者は見習ってほしい。

よい漫画。